眼鏡、草むしり辞めるってよ。

「草むしり屋、儲かっとるか?」かつて甲斐さんが18歳の時から通っていたうどん屋の大将のあいさつである。甲斐さんが店やって居る時は「金魚屋、儲かっとるか?」甲斐さんの口の悪さは、ここ譲り。

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「うどん天国 難波店」だったっけ?難波八坂神社の北側。予備校時代はほぼ週5日。大学生や社会人になってからも毎月1回は通っていた。東京に引っ越してから足が遠のいて2年前に行ったらガールズバーに変わってやがんの。大将元気にしているのかな?

 

この仕事、採集業にプランツハンターに、ほにゃにゃらなんとか家とか呼び名はあまたあるけど個人的には大将に頂いた「草むしり」が一番しっくりくる。眼鏡さんに、ほにゃららなんとか家は贅沢な名前である。

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「ふん、採集家なんて贅沢な名だねぇ。今からお前の名前は草むしりだ。いいかい、草むしりだよ。分かったら返事をするんだ、草むしり!」

 2月にカリマンタンで愛用のカメラをバイクと共に転倒してぶっ壊して、その後コロナで採集に行けないし新機種が出たりで放置一直線。流石にそろそろ新調しようと思案。暫く価格コムをはっついていたけど、「あれ?俺もうカメラ要らなくね?」実は甲斐さん、ピクタムを探すのに山に入れる身体じゃない。昨年肺炎を患ったけど、まだ後遺症が残っていて左肺が8割くらいしか息が吸えない。左肺が8割でも右肺で10割吸えるだろ?と思っていたら、実際は右肺も8割しか吸えなくてガイドさんと山に入っても置いて行かれる始末である。しかも疲労が溜まると肺炎が再発する体たらく。今後どう考えても山に入るのが困難になる。

youtu.beブセも2012年頃までの自生地を知っている身からすると、昨今のブセの産地は10台が絡む玉突き事故の現場みたいで、かろうじて見せれる場面を切り取るためにわざわざ重たい一眼レフは要らないわなぁ。

 

「あ、俺もう草むしりは無理なんだわ」

 

2004年のタイ・チェンマイ採集から始まって、最果ては南米ウルグアイ。丁度日本の真裏まで行って、Newラージパールグラスにエリプチカの斑入りやら、二アス島でニルバーシュやエウレカ見つけられり、色々幸運に恵まれて来たけどそろそろ引き際かなと。いや体力以上に、かつて出会った草以上のときめきは今後も得られるのか?その自信が全くない。ゼロ。

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散々良い草見て来て眼が肥えちゃったのもあるか…もう採集自体に未練はない。

 

でも気が向いたら新産地も探すだろうしシボルガや二アスならまだ山には入れるかなぁとは思いますが、一旦は草むしりの看板は下ろそうと思います。ただ籠や即売会や卸は全く変わらないままで結局何にも変わんないけどね。あとアフターコロナの世界を考えると個人的には採集業が存在しない世界が来ると予想。「お前の終わりを全体の終わりにするな」と怒られそうですが、個人的にはそれにオールベットするので、現状は増殖に全振りで切り替え中。自分の中でもとにかく区切りを付けたい。

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 本当に良い時代にこの仕事に就けて、良い辞め方が出来たと思います。画像は南米ブラジルの夕陽。写真撮った時はまた来るだろうと思っていたけど、もう無理やな。